GSX215BBB /SMART XX no,71
Blackout
2007年12月発売
人気のSMART XXシリーズに漆黒のモデル、[BBB]が登場。
本体ケース・裏蓋・りゅうず・プッシュボタン・ブレスレット・留め金にいたるまで、全ての外装パーツにブラックIP(イオン・プレーティング)加工を施した、ピュア・ブラックなクロノグラフ付きリスト・ウォッチ。
若干視認性は犠牲になっているものの、他のブランドではおそらく採用不可能なスタイリッシュなモノトーン・スタイル。
今回のデザインには新ロゴ[●●●]を採用。
このグラフィックは過去の傑作コラボ・モデルGSX207BATで既に採用されている。
●●●は、暗号的伏せ字として、[GSX]を意味している。
また、[GSX]のデザインの新しい方向性を表すシンボルとしての意味も併せもつ。
[●●●]は、3箇所に出現。
第1番目は、文字盤の12時インデックス下部に植字として立体的にレイアウト、第2に裏蓋中央に深い刻印としてレイアウト。そして、第3は、PB(プッシュボタン)を通常よりサイズアップし、リューズの直径に近づけ[PB・リューズ・PB]という配列で[●●●]を表現。
□ SMART XX □
本体ケースの直径が40mmを少し超える、ちょっと大きなサイズの「スマート・ダブルエックス」GSXラインの中でも硬派なモデルです。
サイズ | 全幅:43.3mm /直径:40.2mm /厚さ:11.5mm |
---|---|
重量 | 約136g |
ムーブメント | クォーツ |
ケース | 316Lソリッドステンレススティール(ブラックIP) |
ブレスレット | 316Lソリッドステンレススティール(ブラックIP) |
ガラス | ミネラルクリスタルドームガラス |
防水 | 10気圧防水 |
特徴 | クロノグラフ/日付表示/24時間表記/畜夜光(スーパールミノバ) |
SMART XX no,71 Blackout
何も見えない時計をつくろうとは思っていなかったんだけど、、、
本当に何も見えないや。暗闇ではさらに真っ黒け。
●●●(表にもデザインされているけど)は、スマートのクラッシックシリーズである「アート」系モデルの新しいロゴで、 SMARTの書体も昔のままとなっている。GSXという以前のロゴはリューズにのみデザインされている。
ガラスに印刷されている、この黒い●●●のロゴの下には3文字のなにかがデザインされている。
このロゴは、バットリピーターというバットマンの限定モデルを生産したときに初めて使ったものだが、1998年の時にはすでに構想していたものだ。
その意味は「ナッシング」。
スマートの方向性を決めるとき、スマートという文字自体もないのが「よっぽどシンプル」で「スマート」だと思っていたから、文字盤になにも字を入れないやつを最初はデザインしていた。
みんなも知っているとは思うけど、no,17から(販売自体もそうだったと思うが、デザイン順でのお話です)。
no,17は「全身鏡面」のモデルで、このモデルは文字盤のはじに、丸く文字をいれた本当にシンプルなものだった。売れる自信はまったくなかったけど、no,12が諸事情で一回だけの生産になってしまって、かわりにやっぱり目立つものがやりたいなぁと思っていたときにデザインに入ったモデルだ。
このモデルは心斎橋を出張であるいているときに思いついたもので、すべてが鏡で映るすべてがデザインになるという、つまり「僕たちがデザインを作るのではないけど、僕たちがその場を提供する」というデザインコンセプトで生まれたものだ。
そのときに、当初の自分が思っていた、字を極力入れない(結果は字をたくさん入れたけど、シンプルにした)モデルをやりたいと思った。本当は最初は何のデザインもなかった。
だから、そのデザイン画はただの時計の形しかなくて、あとはこんなになりますよ見たいな鏡の見本だった。
鏡は僕はとにかく店には多用している(でもそう感じさせない)。
最近もそうだが、鏡が多いとロケは大変なんだよね。
表参道の店舗のタイムラウンジって言う什器もこの時計をデザインしたことで考えたといっても過言じゃない。
だからno,17とかno,12とか、またno,17の前に時計としては販売されたno.9とか(no,9は当初鏡面モデルではなかったが、no,17の構想に 入ったときに鏡面にデザインを変えた。また販売もno,9が先になった。しかし、構想はno,17の方が思いっきり先)は、僕としてはかなりスマートの根本的な楽しさをもったものだと自負しているわけです。でまた、どれもつくるの大変でね。
それでも当時はまだロゴを入れないことに自信がなくて、結局「SMART」という字を入れることは守ってきた。
同じタイミングで考えたのが「見えない時計」。
要するに「時間という束縛からのエスケープ」だ。
それと「コミュニケーションの啓発」。鏡面で「全部鏡面」って思ったときに、やっぱり思ったのが「ブラックアウト」だったのです。
つまり「全部真っ黒」(だから全部真っ白もあり)。
最近「ウブロ」「ベル&ロス」「フォルティス」なんかで「真っ黒」が販売されているが、僕が真っ黒をやりたいなと思って、 実際にデザインをやってみたのは、かれこれ1999年から2000年の頃だった。
その頃、自分が思いをはせたのが、1993年のスウォッチの春夏コレクション「MOON SHADOW」である。
このモデルは、スウォッチで当時大人気となったモデルで、写真ではわからないが、かなり黒くて、薄い部分は鏡面の黒で、もちろんかなり時間は見えない。「ムーンシャドウ」という名前も好きだった。
しかしいつのまにか2008年までかかってしまったのである。
生産もかなり大変だったらしい。ガラスに●●●とno,71が印刷されているから、それを下の文字盤に合わせなきゃならない。
それが真っ黒だから、これは大変な作業だったらしい。
それと普通は多少の細かいゴミのようなものもどんな時計もある。
それは仕方ない。だって、地球にあるんだから。
でもこの時計ではその小さすぎるゴミすらも、よく見えてしまうということで、かなり生産がやはり大変だったという。
カレンダーも黒いガラスをはめていて、よく見ても、なんにちかを判別するのは大変だ。
クロノグラフにいたっては動いていることしかわからんもんな。
この手のものは「さっと」売られて、あとでno,12とかのように名作と呼ばれていくものだろうから、たくさんの生産をすることはない。
よくなんでこんなの創ったの?といわれるけど「ただの思いつき」なわけです。
ロゴに話を戻すと、このロゴを最初に使ったのは、バットマンの限定モデル。バットマンが使っていたことを想定したガジェットタイプだったので、あらゆる文字情報はなるべくなくした。
SMARTという文字情報もいれていない。要するに僕が最初にやりたかったことをやったのが「バットリピーター」だった。
この時計では、縦線のデザインも試している(新型スマートの意匠になった)。
いわゆる「ブラックアウト」は、「バットリピーター」の流れをくむ、スマートXXの新作というわけなのです。
で、その継続を意図して「●●●」のロゴを使った。
このロゴは、月食、日食を意識したもので、月影というイメージも自分は持っていた。
バットリピーターでは、闇夜にバットの影を落とすように、バックルにデザインを融合させた。
文字盤ではあるスペルをブラックアウトするためにデザインとして使った。
そして、今後のスマートではこのロゴをいくつかのモデルに採用していくことになる。
●●●の意味はもうひとつあって、それはスマートのクロノグラフをリューズ側からみたときの三つの●だ。
スマートでは208シリーズなどのカラーをテーマとしたモデルでは、このリューズとプッシュボタンの頭の色をかえている。
それがカタログでは3つの●を縦に時計の横に記載することで現してきた。
いまでこそいろんな色をさしたりするリューズだけど、昔はそんなに定番名ことではなかった。だから「GSX スマート」は色をさすことで楽しさをブランドに取り入れていった。
とてもクールで、無機質なロゴデザインであるが、すべてはアート感覚と楽しさを意識したもので、●の連続と丸のつながりは 「スマート」自体、丸い時計以外はつくらないということである。
針もスネークハンズ(波状)を採用して、基本スマートのお手本のような時計でもあるね。
今から思うと面白かった。この時計のデザイン会議は。だいたい何年かかったんだ~???
「これ見えるの?」
「これはたぶん見えないと思います」
「ひかり具合次第でしょ」
「この数字小さくない」
「見えませんよたぶん」
「見えないからドーデもいいってことはないでしょ」
「これ針の交差するこの時間は時間が見えなそうですよね」
「見えること考えてやってないんで」
「波針の波のスタートはどっちからにします?」
「見えないから。適当に付いちゃったほうでいいでしょ」
こんな風な、一種異様な見えない・見えるの連発会議。
結局、僕には見えなさ過ぎるから、たぶん、だれかに聞くんだろうな。こんな風に、時計を覗きながら、
「今、何時?」
2007年、最後のコレクションがブラックアウトです。