1997年、20世紀の終わりに「エクスペクテーション」の開発は始まりました。「エクスペクテーション」は「遺産」を意味する英語です。「遺産」と呼べるような腕時計。GSXは、それを目指しました。「遺産」といっても、単に「華やかな過去」にしがみついたノスタルジックな時計ではありません。GSXの考える「遺産」は「昔ながらで新しいもの」。過去の名品ならアンティークにまかせて、21世紀に残る「遺産」を作る。それは20世紀の終わりという時代に生まれるべくして生まれた時計であるべきでした。GSXの試行錯誤は、世紀をまたいでしまいました。
21世紀の最初の年、その最後の月に、「エクスペクテーション」は発売されました。真の「遺産」となるために、GSXはスイスの技師と日本のデザイン力を融合させました。ムーブメントには、スイス・デュボア・デプラ社に依頼した機械式クロノグラフ・ムーブメントを搭載しています。これはETA2824にクロノグラフ機能を追加したオリジナル・ムーブメントです。単にスイスの伝統や技術に頼るのではなく、あえてオリジナル・ムーブメントを製作する。それがGSXのこだわり=「新しさ」です。
このケースには、美しく磨かれたステンレスのトノー型を採用しました。ネジ留めされた裏蓋は、バブルバックのようなふくらみをもっています。そして、立体的に作られたダイアルは、絶妙はカラーリングで彩られています。もちろん、ストラップやブレスレットにもこだわりました。装着感を重視し、時計との一体感にまで気が配りました。「昔ながら」であっても「昔のまま」ではいけない。かくして「エクスペクテーション」は、その名にふさわしい完成度をもって、我々の前に登場しました。
GSXは「エクスペクテーション」を「永遠の定番」と位置づけます。いつまでも誰もがあこがれる定番。そして「永遠の定番」であるからこそ、「エクスペクテーション」は21世紀に残る「遺産」となりうるのです。
2001年12月1日に発売が開始された「1000GT」は、デュボア・デプラ社によるバルジュームーブメントを改造 したクロノグラフを搭載する。デプラ社は世界で始めてのクロノグラフを製造開発した名門で現在でもジラール・ペルゴ 、タグ・ホイヤー他、有名な時計ブランドにムーブメントを提供している。 いわばGSXが国内の小メーカーながら、このような名門からムーブメントの提供を受けられたのは、ひとつの事件といっても 過言ではないのです。※開発当時談